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情報共有システム(ASP)とは?

情報共有システム(ASP)は、国土交通省が建設業界全体の生産性向上を推進するためにも、原則利用となっています 。現在では各都道府県への活用は一般的となり、市町村への発注案件にも波及しています。最近では建築工事や委託業務でも活用が拡大しています。

1. 情報共有システム(ASP)の基本

ASPとは? – 現場の「手間」をなくすクラウドシステム

情報共有システム(ASP: Application Service Provider)とは、これまで紙や電話、メールで行っていた受発注者間の情報のやり取りを、インターネット上で行うためのクラウドシステムです。
かつては、発注者の事務所へ書類を届けるための移動、膨大な書類の印刷や保管、修正のたびに行われる電話での煩雑な調整が当たり前でした。ASPは、こうした非効率な作業を根本から解決するために生まれました。
パソコン等から、いつでもどこでも書類の提出や確認、承認作業(電子決裁)ができるため、移動時間やそれに伴う手間を劇的に削減します。
また、技術の進歩に伴い年々容量の大きくなる大容量のデータのやりとりもASPで容易になります。
これらは単なる時間短縮、手間削減だけでなく、働き方改革を後押しする重要なツールとして、国土交通省主導で導入が推進されています。


ASPの主な機能

ほとんどのASPは、国土交通省が定める機能要件に則って提供されています。
主な機能は以下の通りです。
ワークフロー(電子決裁)
打合せ簿などの書類をWeb上で作成し、承認プロセスを進める機能です。書類が今「誰のところで止まっているか」がひと目でわかるため、業務の停滞を防ぎます。

スケジュール管理
関係者全員の予定を共有カレンダーで管理します。候補日が絞りやすいので、打ち合わせなどの日程調整がスムーズになります。

掲示板・メッセージ
関係者への一斉連絡や質疑応答の記録を残すことで、情報伝達の漏れや「言った・言わない」のトラブルを防ぎます。

ファイル管理
図面や写真など、メールでは送れない大容量のデータを一元管理し、関係者間で共有できます。着手前のデータ、過年度の資料も簡単に共有できます。

ASP導入のメリット

ASPを導入するメリットは、単に移動時間や印刷コストが削減されるだけではありません。
他にも以下のようなメリットもあります。

やり取りや承認プロセスの見える化
すべてのやり取りや承認プロセスがシステム上に記録されるため、「誰が、いつ、どのような内容で承認したか」が明確に残ります。よって、責任の所在がはっきりし、後になって発生しうる不必要なトラブルや誤解を未然に防ぎます。

情報漏洩リスクの軽減
物理的な書類の紛失や、メールの誤送信といった人為的なミスによる機密情報の漏洩リスクを大幅に低減できます。これにより、組織全体のセキュリティレベルが向上し、重要な情報を安全に管理できます。

検査・電子納品業務の効率化
システム上で承認された書類は、システム上で承認された書類は1か所に整理され、検索しやすい状態で保存されます。
これまでの手作業での書類整理や確認作業が不要となり、検査準備や最終的な電子納品にかかる事務作業の負担を劇的に軽減します。



2. 失敗しないASP選びの3つのポイント

ASPを選ぶ際には、機能の多さだけでなく、以下の3点を特に重視することをお勧めします。
直感的な操作性
ITに不慣れな人でも、マニュアルを見ずに使えるか?
誰にとっても分かりやすく、直感的に操作できることは、現場の生産性向上の意味でも非常に重要です。

発注者側の評価
発注者側にとっても使いやすいシステムか?
発注者側の担当者がストレスなく使えるシステムを選ぶことで、円滑な情報共有が可能となり、迅速な意思決定を助けることにもなります。結果として良好な関係を築く上でも重要な要素です。

手厚いサポート体制
発注者側もサポート体制は十分か?
充実したサポート体制は、システムを安心して使い続ける上で、重要な判断材料です。
特に、発注者側はセキュリティの関係上リモートサポートができないことが多いため、導入前後のフォロー体制についても確認しましょう。


情報共有システム(ASP)を導入された方のほとんどが、「メールや紙だけのやり方には戻れない」と利便性の高さを実感しています。発注者の方も受注者の方も、そして最初は戸惑っていた方でさえ、その利便性を実感されています。「実際に使ってみたら、想像以上に簡単だった」「すぐに慣れた」という声がほとんどです。不安な方は、操作の流れなどを画面で確認することをオススメいたします。